還暦、古希、退職祝い。ご両親との旅行先に旅館を選ぶのには理由があります。温泉は年配の方に最も喜ばれる旅の楽しみで、旅館の接客は「おもてなし」そのもの、そして部屋に運ばれる夕食は移動の負担をなくしてくれます。ただし、年齢を重ねた体に合わせた選び方があります。ここを押さえれば最高の親孝行に、外すと苦行になってしまいます。
基本の考え方:座る・立つ動作を減らし、移動を減らし、温度差を減らす。 ご両親との旅館選びは、この3つに尽きます。
1. 座敷の落とし穴 — ベッドのある部屋を選びましょう
畳に布団という旅館らしいスタイルは、膝や腰に不安のある方には大変なことがあります。床から立ち上がる動作そのものが負担になるからです。
- 和洋室:畳の居間とベッドの寝室が一体になった客室です。旅館の情緒とベッドの寝心地を両方かなえる、いちばんの選択肢です。客室タイプで「和洋室」を探してください
- 食事の席も確認:部屋食が座卓(床に座る形)か、テーブルと椅子かで満足度が変わります。食事処なら椅子席が基本なので、かえって楽です
- 温泉の手すり・段差の有無は写真で確認を。露天風呂までの道が石段の旅館も少なくありません
2. 移動を減らす — 駅近と送迎
駅や空港から荷物を持って乗り換える回数が、ご両親の疲れを左右します。
- 駅から徒歩圏の旅館(Ryokanearの掲載データでは699軒)を優先しましょう → 駅近フィルター
- 多くの温泉地の旅館が駅までの送迎を行っています。予約後に到着時間を連絡すれば、駅まで車が迎えに来てくれます。予約時に必ず確認・依頼してください
- エリアは主要駅から1時間前後が上限の目安です。熱海(東京から新幹線で約40分)、箱根(新宿からロマンスカーで約85分)、由布院(博多から高速バスで約100分。乗り換えのない直行バスは、電車の乗り継ぎよりご年配の方に向いています)
3. 温泉は「短く、何度も」 — 温度差の管理
高齢の方の入浴の鉄則です。年齢が上がるほど、温度の変化が体に大きく響きます。
- 5〜10分ずつに分けて、1日2〜3回が適量です。一度に長く浸からないようにしましょう
- 冬の露天風呂は、脱衣所から湯船までの距離が短いところを。露天風呂付客室や内風呂付きの客室なら、この心配はなくなります → 露天風呂付客室フィルター
- 血圧の薬を飲んでいる場合は、入浴前後の水分補給を忘れずに。食後や飲酒直後の入浴は避けるよう、あらかじめ声をかけておきましょう
- 貸切風呂があればご夫婦水入らずで。ご両親お二人で使える貸切風呂は、親孝行旅行の隠し玉です → 貸切風呂フィルター
4. 食事 — 量と時間の調整
会席料理は10品前後のコースで、ご年配の方には量が多い場合があります。
- 予約時の要望欄に「少なめのコース」を相談してみましょう。対応してくれる旅館は多いです
- 生ものが苦手なら「お造りを焼き物に変更」といった調整も、予約の段階で依頼できます
- 夕食は早い時間帯(17:30〜18:00)に。遅い夕食は消化の負担になります
5. 記念日なら事前に伝えましょう
古希や結婚記念日などを予約の要望欄に書いておくと、ケーキや記念撮影、メッセージ付きの膳などを用意してくれる旅館が多くあります(有料・無料はさまざま)。おもてなしが最も輝く場面ですから、使わない手はありません。
おすすめエリアのまとめ
- 初めての親孝行旅行の定番 → 熱海・箱根(移動が少なく、見どころも多い)
- 静かに過ごしたい → 由布院(町そのものが散策コースで、平地が中心)
- 温泉情緒をたっぷり → 城崎(柳並木の川沿いの散策。ただし外湯めぐりは体力に合わせて)
- 冬は慎重に — 雪景色は美しいものの、凍結や温度差のリスクがあります。ご両親の体力に余裕があるときだけにしましょう
💡 予算のヒント:ご両親との旅行では「いい部屋ひとつ」が「観光十か所」に勝ります。価格レポートによると、1泊2名で約4.7〜5.7万円台なら露天風呂付客室が狙えます。部屋ですべてが完結する造りが、いちばんの親孝行です。

